生命の目指す先

生命の個性占星術においては、占星術の解釈は、一般的な西洋占星術と変わりありません。将来的に独自の解釈を作り出すという目標もありません。
では何が違うのか?何が特徴なのか?ここは明確にしていきたいと思います。

宇宙は生命です。ここでいう宇宙とは、夜空に広がる「宇宙空間」を示しているわけではありません。私たちの世界、見えない世界も含む、世界そのものを宇宙と呼びます。
そして生命であるからこそ、生きているのです。

宇宙は、人間が考える「神」のような存在ではないと思います。ここでいう神とは「絶対」であるもの。全てにおいて一切の間違えがない完璧な存在・・というイメージを指します。
宇宙も人間のように、進化成長しながら、変わっていく存在だと思います。従って、人間が考える「悪」のような部分も兼ね備えた「生きている存在」なのだと思います。

だから成長を望む。
成長のない状態は、停止や保留、現状維持ではありません。成長を忘れると衰退が起きています。これは、私たち人間の体験からも理解できるのではないかと思います。

そして宇宙はどうやって成長するのか?その役目を背負っているのが、私たち「人間」だと思うのです。
宇宙生命は、私たちに「個」としての役割を与えているはずです。ある時代に生まれた人たち全体への課題、そして一人ひとりの「個」毎に与えられた課題。それを達成するように、宇宙もまた努力しているはずなのです。それが「宇宙からの応援」という形で、私たちに届きます。

人間の生命にある2つの欲求

占星術を学んでいると、私たちには大きな2つの欲求があることに気が付きます。

一つは宇宙生命という「全体」から人間という「個」として独立する方向に向く欲求です。
もう一つは逆、「個」の私たちが「全体」の宇宙に還りたいという方向に向く欲求です。

この大きく矛盾する2つの欲求が、私たちの生命の奥底で衝突していると言って良いでしょう。

そして今の時代は・・正確にはどの時代でも、人間は「私は何者なのか?」「どこから来て、どこに帰っていくのか?」という本能的な欲求があるのでしょう。
この欲求は、現実世界に不安を感じれば感じるほど、強くなって当然です。

従って、誰もが皆、答えを求める。今の時代で言えばスピリチュアルブームです。
もちろん占星術に興味を抱くほとんどの方が、スピリチュアル的な指向を持っていて当然かと思います。
心理学はスピリチュアルではない、と反論する人もいると思いますが、目に見えない本質への探求という観点で見た場合に関しては、同じ方向を向いていると言って良いでしょう。

占星術では、人間の生命の傾向性を分析し、個の性質や、そこから生まれる可能性を見出すことができます。この一点においては、かなり完成された学問と言えると思います。

しかし、ここから先にある「思想」は様々だと思うのです。

大抵感じるのが、精神的開花、スピリチュアル性の開花を目指している思想が強いように感じています。
もちろん私も、自身の精神的成長を求めて努力をし、宇宙の真理を知りたいと学んでいるには違いありません。しかしゴールが「個」から「全体」に還ることではないと思うのです。
多くの占星術家やスピリチュアリストの目標が、宇宙生命への帰属性のように思えます。もしくは、一切そういう部分に触れないか(笑)

もう少しわかりやすく説明します。
例えば、多くのスピリチュアリストは、キリストや釈迦のように世界の真理を悟りたい、と思っているのではないでしょうか?
確かにこれが宇宙生命に帰属した最終到達地だと思います。

では、実際のイエス・キリストや釈迦の人生はどうだったのでしょうか?
もちろん、見たわけではないので知りません。笑 過去世で一緒だったとか言いませんから。笑
伝記から想像するに、「一人でも多くの人を幸せにしたい」「全ての人を幸せにしたい」と、自らを犠牲にしてまで、語りに語ってきた人生だったのではないでしょうか?

生命の個性占星術では、最終目的地を「宇宙生命への帰属」にはしたくないのです。
とはいえ、「個の分離独立」がゴールでもありません。

この相反する人間の欲求を、調和統合する事が、生命の成長の目的だと思います。
少し違うかな。調和統合をしていく過程そのものが、生命の成長であり、宇宙生命の意図するところなのではないでしょうか?

要は、自分自身が宇宙生命なのだという大きな自覚に立ち、現実世界の中で、悩んでいる人、苦しんでいる人に寄り添い、「一人でも多くの人と一緒に幸せになりたい」と願い、行動していくことこそが、生命の個性占星術の原点にあるのです。

対極にあるハウス

1ハウス〜6ハウスまでは、自我の確立が課題になります。
これは言い換えれば、「個」としての自分の確立を意味します。

7ハウス〜12ハウスまでは、更に広い世界への探求と貢献です。
しかしここに隠れた共通テーマは、宇宙生命への帰属と言ってよいかもしれません。

対極のハウスには、必ずどちらかのテーマが来ることになります。そして現在の自分がどちらよりになっているかで、偏りすぎていた部分を調整していく学びが起きると考えます。

しかし、最終的に「宇宙生命」に帰属するという結果にはなりません。
より大きな視点を持つことを学び、それを「現実世界」の中で活かしていく・・これこそが、私たちが人間として地球に生まれてきた目的だからです。

 

目指した山の向こうは、神の国ではありませんでした。
そこは、愛する人が住む、普通の街だったのです。