生命の進化成長のために

宇宙生命は進化成長することを求めています。そして宇宙生命と同一の私達の生命も、成長することに喜びを感じます。
今回は、生命の成長過程について考えていきたいと思います。

さて私達の心は意識と無意識、顕在意識と潜在意識に大きく分かれます。
もちろん意識においても成長は望むところでしょうが、苦痛を伴う経験を敢えて望みはしないでしょう。むしろ安定した平和な状態を望むと思います。
しかし無意識下の私は、困難の先にこそ成長があると知っているので、敢えて困難を望んでいるのかもしれません。もちろん困難を乗り越えられることも知っているから。

私達の生命には、無意識下において、宇宙生命である私と、「個」の人間である私という、2人の「私」がいるようなイメージです。
実際の生命はもっと複雑だと思うのですが、今回は、掘り下げて心理学的な考察はしません。わかりやすくイメージで語ります。

ここで人間の生命は、二つの方向への欲求が働くと考えられます。
一つ目は、宇宙生命から自立した「個」としての役割を果たそうとする欲求。
もう一つは、「個」の心が宇宙生命に帰還しようとする欲求です。

これらの二つの欲求は、以下のような形で現れるはずです。
まず、自我を確立し、自分の個性を現実世界の中で発揮しようとする働き。
次に、生命や世界の真理を追求し、それを覚知したいとする働き。

そして、こう並べてみるとわかりますが、どちらが優れていて、どちらが劣っているということはなく、どちらも大切で、どちらが欠けても不十分なのです。
最近のスピリチュアル業界では、真理の追求と覚知、よく聞く表現を使えば、魂の覚醒とか精神性の進化とかになるのでしょうか。これは明らかに後者を強く求めていることがわかります。

しかし、後者のみを追い求めた場合、「では私たちは何の為に生まれてきたの?」という話しになります。敢えて人間として生まれてくる意味が無いと思うのです。

やはり、両者のバランスと調和を整えながら、「真理を自覚した上で、現実世界に生きる」ことが、生命の進化成長の向かう先なのだと考えます。

私たちは、この世界で幸福になる為に生まれてきたのです。

進化成長の過程とカルマの役割

私達の生命の奥底では、生命の成長を望んでいます。それは、未来に向けて、新しい自分になっていくことを意味します。
新しく変わるということは、未知の体験をすることを意味するわけです。そこには不安が生まれます。もちろん宇宙生命の私には、そんな不安はないのかもしれません。

しかし個としての私にとっては、未知の体験は不安なのでしょう。過去にしがみつこうとする力が自然と働くことが想像できます。
過去の既知のものは、安心感をもたらします。自分が過去に慣れ親しんだ思考や感情、そして行動のパターンが自然に働いてしまうのです。

これを占星術で見た場合、「私」の魂の本質は冥王星のある星座とハウスに現れます。
動きの遅い冥王星は、同じ時代の人は同じ星座になる為、時代の特徴を示します。個人の特徴は、冥王星の入っているハウスに表れます。
冥王星は、過去から現在までの「私」の本質を示すので、過去世から慣れ親しんだパターンにしがみつこうとするでしょう。
そして、冥王星の対極の方向に、生命は進化成長しようとします。

まさにオポジションの状態で、生命が引っ張り合うことになります。
安心感を得る為に過去にしがみつく私と、新しい方向に進もうとする私。この2つの力が大きく引っ張りあった時、まずは生命の奥底で調和が崩れ始めます。

「個」としての私は、自己防衛の心が働きます。
それは意識の中に、「強迫観念」や「衝動脅迫」の心が生まれるでしょう。

強迫観念=頭から離れない考えのこと。
起きてもいない不安に恐れを抱き、自分の意志ではその思考を止めることができなくなります。

衝動脅迫=相手を威嚇してしまうこと。
これらの不安は、具体的には人間関係の中に起こる為、恐れている事が起きないように、相手を無意識で脅し、コントロールしようとすること。

これらの自己防衛が起こり始めると、それは必然的に激変的に状況を変えてしまうような変化となって現れてしまいます。具体的には人間関係を破壊することで、自分自身を激しく傷つけてしまうような形となりかねません。

そしてこのパターンは、無意識の動機で起こる為、程度の差こそあれ、何度も何度も繰り返しているのです。なんで同じような悩みや困難が起きるのか?人間関係が同じパターンで崩れるのか?ほとんどの人はこれを理解することができません。

そしてこの同じ過ちのパターンは、過去世からも繰り返し、繰り返し、続いているのです。これがカルマの仕組みなのです。

こう文章に落としてみると、冥王星のもたらす変化がよくわかります。
その本質においては、社会における「戦争」と、個人における「喧嘩」の仕組みも変わらないかもしれません。
だから冥王星は、「破壊と再生」の星と言われているのでしょう。

ここで希望のキーワードが出てきました。
冥王星の目的は、古い価値観にしがみつき、進化成長を妨げている要因を破壊し、強制的に進化成長させる事です。

生命の個性占星術は、正面からカルマに向き合うことを学びます。
なぜなら、今の自分の悩みや不幸の原因は、外にあるのではないのです。喧嘩をした相手に原因があるのではなく、全ては自分の中にその責任があったのです。

これを理解し、新しい世界に進むことを決意します。
古い世界との決別は、もう怖くはないはずです。何故なら冥王星が全て破壊してくれました。今の「私」は前に進むしかないのです。
もはや過去には何の希望もなく、未来に希望を創るしかないのです。

対峙するのは自分のカルマです。自分の古い価値観です。そして自分の恐れや不安です。
全ては自分の中にあるものばかりだったのです。

そしてここから、真の「私」への再生が始まっていくのです。

宇宙は私たちを不幸にする目的はありません。
私たちに大切な「真理」に気が付かせ、現実社会での「幸福」を望んでくれていることを信じ、新しい世界に向かって歩んでいきましょう。