占星術でわかること、わからないこと

占星術を正しく理解する為には、「何がわかるか?」という事はもちろん大切ですが、「何がわからないか?」という観点で見ることも大切に思います。

まず大前提として、私たち人間の生命は、宇宙生命と同一であるということ。そして、その「全体」の生命から「個」としての何かしらの役割を与えられているのが、私たち人間であり、その特性を「個性」と表現しています。

この観念から見た場合、私たちのホロスコープの中にある情報は、「個」の情報を読むためのものであり、「全体」としての情報が込められているものではありません。

パターン化された情報からわかること

「個」を読むにあたり、パターン化されている情報を読むことになります。
近代の西洋占星術は、神智学、それもキリスト教の一部の否定し、インド哲学の輪廻転生やカルマの概念を取り入れて複合的に発展してきた神智学がベースになっていると考えられます。またユング心理学の集合的無意識、その概念から生まれる元型=アーキタイプを元にした「個」のパターン化が、解釈のベースとなっているとも考えられます。
これらの詳しい考察は、別の機会にまわしますが、その後、統計学的な経験の積み重ねの上、現代風の解釈が成り立っていると言って良いでしょう。

「個」の性質には様々なパターンがありますが、このパターンは意識上のパターンではなく、無意識の中にあるパターンなので、自覚することは難しいでしょう。

ある人が、ある特定の事象に直面した時、自然に生まれる「感情パターン」「思考パターン」は不思議と決まってきます。そしてそこから生まれる「行動パターン」も同じになります。
そしてこれらの多くの事象が、対人関係の中で生じることから、相手に対する言動や態度などもパターン化します。もちろん相手に与える「心理」もパターン化されます。そして、対人関係の中で、そこに生まれる「結果」もパターン化します。従って、人生のパターンまでが同じになってしまうのです。

この「パターン」がホロスコープ上のチャートに現れていると言えるでしょう。

もちろん、ある程度のパターンが同じであったとしても、星の配置によって、その強弱や関連性は変わってきます。関連性とは、お互いの力を強めあったり、打ち消しあったりする作用です。
従って、ホロスコープチャートの中には、個人の持つ性質を極めて特定するので、まさに自分だけの「設計図」と読ばれるような「情報」となるのです。

占星術では普遍的な真実は読めない

占星術は、あくまで「個」の持つパターン化された特性を読むためのものと言えるでしょう。

ところが人間は、全てがパターン化されているものではない、変動的、流動的な生命体です。
占星術で読めないのは、人間の「意志の力」です。「決意」と言っても良いかと思います。

「私はこうする!」「私はこうしたい!」という意思が働いた時は、パターン通りにはいかなくなります。
これが占星術にどう影響するかと言えば、そこに自由意志が働くことで、未来は決まっていない、変えることもできる、という事です。

強い意志がなく、流れに身を任せた場合は、恐らくは無意識のうちにパターン化された行動を取り、パターン化された結果が出るのだと思います。
しかし「私はこうしたい」と強く思った場合は、必ずしもパターン化された行動を取るとは限りません。だから結果も変わるのです。

そして、占星術のホロスコープには、宇宙生命としての「全体」が示されているわけではない、という事も知らなくてはなりません。これは、宇宙生命の「普遍の真理」の事です。
ホロスコープに出てくるのは、あくまで「個」の性質のパターンです。

ここに占星術の限界があるというか、普遍の真理を探究することは、占星術の境界の外の分野だと知るべきでしょう。

一つ簡単な「普遍の真理」の例を挙げます。

物事には必ず「原因」と「結果」があるということです。

占星術において、「個」の持つパターンを「原因」とするならば、そこから生まれるパターン化された「結果」は必然なのです。
しかし、ここに意志を持つ。「私はこうすると決めたからこう動く」という「原因」が生じた場合は、パターン化された通りになるとは限らないのが「結果」なのです。こうして未来は創られます。

ここから学べることは、人間は「主体者」なのです。決められた運命に生きるものではない。
本来、人間は宇宙生命と同一なのです。つまり人間が強い意志を持つことは、宇宙が意志を持つことと同じなのです。この事からも、人間が「主体者」である事がわかります。

未来は人間の強い意志が創ります。その意志を固めて宣言することが「決意」なのです。

「個」の情報が読めるだけでも凄いこと

現代の占星術は、心理学と融合し、「人間の心の動きを知る」学問として、極めて発展を遂げていると言えると思います。
心理学は、まだまだ学問としては歴史の浅い分野であり、恐らく「人の心を取り扱う学問」としては、占星術が一番長い歴史を持っていることでしょう。ただし「占い」としての要素が強調されていた為、学問として認められなかったのもまた事実なのだと思います。

しかし現代において、これだけ「個」の生命の持つ情報に長けたものは他に無いのでは、とも思います。

そして占星術の凄いところは、過去世のカルマや、他者の生命との繋がりなども、深く具体的に読むことができるという点です。

もちろん情報は読めれば幸せになれるものとは限りません。その情報をどう活かしていくかが一番大切なポイントです。とは言え、情報を知っているか知らないかでは雲泥の違いがあると思います。

それでは別記事で、「過去世のカルマとの向き合い方」、そして「占星術の活用の仕方」なども改めて考察してみますね。