傷の癒し手キロンの傷の示す意味は?

キロンは土星と天王星の間にある小惑星です。占星術のリーディングにおいても取り扱われる事が多い、大切な役割を持つ星となります。
キロンが意味する「心の傷」や「傷と癒し」について考えていきたいと思います。

神話の世界におけるキロン

キロン(カイロン・ケイローン)は、半人半馬として生まれた神クロノスと妖精の子供で、不死の命を授かっていました。
野蛮な半人半馬のケンタウロス族に似た姿をしていましたが、実際のキロンは高い知性と精神を持った教師や医者として、多くの人を救う賢者としての人生を送っておりました。

しかしある時、ケンタウロス族とヘラクレスの争いに巻き込まれてしまい、ヘラクレスの毒矢を間違って受けてしまう事になります。
キロンは元々不死の命であった事から、この毒矢の痛みにもがき苦しみます。

人の傷を癒す才能に長けていたキロンですが、自身の傷だけは癒す事ができませんでした。
そして遂に、その不死の力をプロメテウスに譲ることにより、傷の痛みからの解放、永遠の安らぎを選ぶ事になりました。

そして生前の功績を評価した最高神ゼウスは、キロンを天空の星=射手座としたと言われています。

キロンの傷とは?

キロンは優れた医者であったのにも関わらず、自分の傷は癒せなかったという意味から、「傷ついたヒーラー」と呼ばれているようです。

しかしキロンの傷は、それだけではありません。キロンは母に望まれた子供ではなく、また母にも見捨てられ、生まれた後に本当の両親には育てられておりませんでした。
従ってキロンの傷を「幼少期の傷」と捉える事もできます。
誕生時のネイタルチャートにあるキロンが強調されているような配置の人は、誕生時や幼少期に特別な傷を持つ人が多いのも事実です。

また、過去世のトラウマ、生命の深い所に刻まれた傷は、過去世の記憶を思い出させる為に、幼少期に過去世の疑似体験をする事で、同じ傷を現世でも負うことになる・・との考え方もあります。

キロンの傷の克服の仕方

キロンは土星と天王星の間にある小惑星であるという事を、人間の生命の中にある小宇宙に当てはめて考えると、キロンの傷は顕在意識と潜在意識の境目、つまり自分自身が比較的意識しやすい「心の傷」と捉える事ができるかもしれません。

実際にホロスコープを鑑定した場合、キロンの示す傷は「あ〜なるほど」と指摘されれば素直に受け取れる心の傷であるようです。

そしてキロンの傷を癒す方法も、神話の中に答えが隠されています。
キロンは本当の両親、母親からも見捨てられてしまった「呪われた子」として生まれてきました。そして実際の育ての親は、神話の世界の中でも有名な、アポロンとアルテミスという神でありました。
アポロンは太陽神、アルテミスは月の女神である事から、まさに父母としての神の象徴に育てられた事を意味します。

ここから考えられるのは、キロンの傷を癒す方法は、目に見えない宇宙からの恩恵を全身で感じる事。宇宙の叡智を素直に受け入れていく事と言えるかもしれません。

傷を受けた分野で、同じ傷を持つ人を癒す

キロンの傷の意味する本当のところは、自分自身の傷を癒す事だけではありません。
自身が傷を負っていた分野において、まずは自身がその傷を癒す事を体験する。そして、同じような傷を持つ人の傷をも癒していくという「使命の道」が現されています。

そして他者の傷を癒す方法は、言うまでもなく、その相手の人にも「宇宙の叡智を受け入れる事を教えていく事」なのではないでしょうか?

さらに深く考察すれば、自身の傷を癒す為には、自分の事だけに目を向けるのではなく、他者を救っていこう、他者を幸せに導いていこうという行動を続ける事で、自分の傷もまた癒されていくのでしょう。

キロンの傷は、「心の傷の癒し方」を学ぶ為に用意されたもののように思えます。
私たちはこの人生の中で、もっと深い生命の傷に、もっと大きな生命の使命に向き合っていくというステージが用意されています。
つまり、ドラゴンテイルが示す過去世のカルマと、ドラゴンヘッドが示す今世の使命です。天王星・海王星・冥王星がもたらす生命の進化の事でもあります。

これらの課題は、キロンの傷よりも、もっと深い心の奥底に沈んでいるので、誰もが簡単に気づけるものではないかもしれません。しかし、これらの課題に直面した時、乗り越える方法は、キロンで学んでいるのです。
キロンを学んだ人には、次なる大きなステージに進める扉が開くのかもしれません。